モノつくりの新しいかたち

———— IoT職場インタビュー

今回は、TCPのIoT化を担う部署のチームリーダーと若手のお二人にお話を伺いました。

村田さん / 毛利課長
—— お二人の所属するチームはどんなお仕事をしているのですか?
村田
カードの製造や物流業務を行う現場への新しいシステムの導入、そのシステムの構築や業務を最適化するための手順の設計・改善を行っています。「現場とシステムの橋渡し」として、現場のサポートをするのがチームの役割です。
業務の進行手順の設計や、新たなシステムを現場に導入する際、システム部門の方と現場の方の間にどうしても認識の違いが生まれてしまうことが多いので、できるだけ現場と同じ目線で仕事をするよう心がけています。
毛利
実際にシステムを使用する人たちと一緒に設計をすると、自分では気づかなかったことがわかります。例えば、現場にマッチング*¹用のパソコンを設置しても、作業者はほとんどパソコンの画面を見る時間がありません。ライン作業者は特に顕著で、前工程と後工程の状況を見ながら作業されるので、パソコンをじっと眺める時間はありません。そういったときに、エラーが発生したときに音や光と言った感覚的なもので判別できるように改善すると、安心して作業ができるようになり、効率もあがります。
村田
システムの設計をしている中で自分の考えた改善機能を提案したとき、現場の方から「わかってるじゃん」といわれると嬉しいですね。
—— 現場と一緒になって業務をより良くしていくお仕事なのですね。
村田
例えば、私たちのチームが現場で使用されるシステムを設計することになったとき、一番はじめに行うのは現場で行われている業務内容の把握です。現場では当たり前にやっていることで、当たり前が故にこの動作についてはわざわざ(工程として)説明するまでもない、みたいな隠れた部分が結構あって。そういうところをくみ取っていくのが大事なのかなと思います。
毛利
「声なき声をくみ取って形にする」のが私たちの仕事ですね。現場は言わないのだけど「当たり前のことだからわかっているだろう」と思われている作業をこちらが見出して要件としてシステムに落とし込む、というのが私たちの役割なのです。
どんな新しい案件が発生したとしても、基本的に現場の運用自体は大きく変わらないです。3PL*²の現場なら、お客さまの商品を預かり、指示通りにピッキングして、梱包して、発送する。この一連の動きは不変です。日頃現場に入り込んで実際に作業をする方の動きを見ながら仕事をしているので、現場と新しい案件の打ち合わせをする時も「そういえば過去のあの案件ってこう動いていたよね」と、誘い水を出しながら進めています。声なき声のくみ取り方がこの方法です。
—— 現場のことをよく知ることが重要なのですね。現場の方と一緒にお仕事をするにあたって重要視していることはありますか?
村田
私は現場の方ととにかく話して、コミュニケーションをとる、ということを大切にしています。親密になればなるほど、現場からもやりたいこと、思っていることが出てくると思っているので。休憩時間に業務以外のこともお話ししに行ったりしますし、同年代の人とはプライベートで出かけたりもします。
あとは、私が元々オペレーターとして印刷の現場にいたこともあって、職人気質というか、生産現場ならではの現場の方の気持ちに共感しやすい部分もあるのだと思います。
—— チームとしての方針や、大切にしている考え方はありますか?
毛利
人として幸福な状態とは、「選択肢がたくさんあること」だと考えています。行き詰まったとしても、逃げ場があり、助けてくれる人が居る環境が重要だと思っています。なので、チームメンバーには現場との関係性が構築でき、様々な人や場所と出会える機会を提供するようにしています。そういった機会が化学反応を起こし、樹木の枝のように選択肢が増えていく職場を目指しています。
村田
仕事として目指す最終地点は決まっていても、そこに至るまでのやり方は自由にやらせてもらっています。
毛利
現場に迷惑をかけなければ自由にやっていいと思っています。
TCP内の他の拠点で打ち合わせをする際にも一緒に来てもらったり、工場見学を一緒にやってもらったりしています。また、社内だけではなく、得意先との打ち合わせに同行してもらうことも多いです。
自分の職場の中だけで仕事をしていると、行き詰ってしまうこともあると思いますし、視野が狭くなってしまいます。いろいろな経験を積んで、選択肢を増やしてもらいます。
なので、外をたくさん見てもらって、良いところを取り込んでもらう。良い意味でチームに染まりきらずに見聞を広める、というのが私の根底の考えです。
—— 品質設計・工程改善チームの魅力を教えてください!
村田
現場に近いので、自分の考えたこと、改善したことの結果が目に見える、実感がわきやすいというのがこの仕事の魅力だと思います。
毛利
私たちの部署は「システムと現場の橋渡し」であるとお伝えしました。こういう繋ぐ部署・部門は社内・社外を探してもなかなかありません。我々がいることによってシステムと運用が合わさったときに大きな力を発揮することができると考えています。システムの設計・開発はもちろん勉強できますし、生産現場のマネジメントもできます。自部門だけでなく他部署、社外の方とも関りを持つことも多い。とにかく「何でもできる・どこにでも行ける」のが魅力です。
—— 現場のデジタル化、IoTを担うチームとして、今後お仕事が、現場が、どのようになっていくか、展望をお聞かせください。
村田
私たちの業界もデジタル化の波にのまれていて、IoTは今の時代当たり前にやっていかないといけないものだという自覚もあります。TCPでも今まさに注目して力を入れているところで、IoT人財が活躍できる幅が増えています。今までデジタル化に至っていなかった部分に新しくシステムを導入するにしても、既存のものに手を加えるにしても、システム自体が業務の中心になればなるほど、仕事の規模も大きくなっていくと思います。
毛利
少子高齢化、労働人口減少、親の介護、価値観の多様化と、これからの社会はかつて経験したことが無い状況になっていくと思います。そんな中で少ない労働力で品質と効率の両方を満足させられるのは、IoTであると考えています。しかし、どんな優れた技術も現場との親和性なしでは満足な成果が出せるとは考えられません。チームメンバーそれぞれが、自分なりの関係性や知己とともに、改善改革を繰り返していくことで、会社を成長させる起爆剤になることを念頭に、がんばっていきたいと思います。
自分の「やりたい!」という気持ちがあれば、どんなことでもできる職場です。これからの現場のIoTを支える一員として、一緒にお仕事ができることを心待ちにしています。

*1 画像マッチングシステムのこと。製品を画像として瞬時に読み取り、不良がないか判断するシステム。

*2 サード・パーティ・ロジスティクスの略で、物流業務の受託サービスを行う。